Dear HERO[実話]
必要な存在
「よし!このジェットを直して凛ちゃんのにしようかね」
いつものように樹がジェットスキーの整備をするのを隣で見ていると、シゲルが今は動かないジェットに手を置き冗談混じりで言った。
シゲルの年齢は30代後半で日に焼けた黒い肌が海の男を感じさせる。
そして樹はシゲルを一番信頼しているように思えた。
「凛、ジェットの免許取りなよ?」
樹もシゲルの言葉にのってくる。
「えっ…?」
いきなりの言葉に私は樹とシゲルの顔を交互に見渡した。
「俺より上手くなったりして…大会出たい!とか言ったらどうしよう」
樹はジェットの手入れをしながら、私の姿を想像しているようだ。
「おぉ大会出れるかもな!」
シゲルも調子に乗って言う。
そんな三人の会話を聞きながら、少し離れた所でカズはジェットの修理をしていた。
そして表情も変えずに一言…。