Dear HERO[実話]
海の近くだということもあり、8月初めでも陽が落ちると気温が下がり肌寒くなる。
全員で簡単に片付けを済ませると部屋の中に入った。
といってもベッドがあるわけでも、部屋がたくさんあるわけでもない。
40畳程の広い畳の部屋に約20人が布団を敷いて寝ることになった。
その状態はまるで……
…修学旅行みたい。
時間は11時過ぎ。
すでに布団は敷かれているが、このまま素直に寝るとは思えなかった。
案の定部屋の隅に置かれていた折り畳み式の机を出し、宴会が始まる。
私は樹の隣に座った。
飲めないお酒を少しずつ飲みながら、私はほとんどが聞き役。
質問されれば一言、二言答えるだけ。
大人の中に混じって、その雰囲気の中で自分を自然にだすことは樹と付き合って数ヶ月経ったこの時もできていなかった。