Dear HERO[実話]
布団に戻った二時間後、再び目が覚めた。
というよりも周りはほとんど全員起きていて、起きないわけにはいかなかった。
この日はジェットスキーに乗せてもらう予定。
しかし、前の日に飲みすぎたせいでほとんど全員が二日酔いになっていた。
着替え、準備はしているものの、椅子に座ったまま動こうとしない。
樹も座ったままだ。
ほとんど寝てないしね…。
私も樹の隣に座り、ただ海を眺めていた。
樹の運転するジェットに乗せてもらえると思って来たのに…
このまま乗せてもらえないまま帰るのかな。
海でジェットスキーを楽しむ人たちを羨ましそうに見ていた。
「たっくん、凛ちゃんを乗せてあげなよ」
シゲルの奥さんが寂しそうに海を眺める私の姿に気付いた。
机に肘をついて頭を支える樹に向かって言う。
その声に樹は気付いたように振り返り、私の顔を見た。