Dear HERO[実話]
「カズ……」
耳に入ってきたのは聞き慣れない声。
後ろを振り返ると、小柄でとても綺麗な女性と目が合った。
大きな瞳に整った顔立ちはアイドルのよう…
そして先を歩いていたカズは彼女の声に気付き、私たちのほうへと近付いてきた。
どうやらカズの知り合いらしい…
彼女は私と目が合うと軽く会釈し、樹を見た。
「たっくんの彼女?」
樹のことを“たっくん”と呼ぶ。
樹とも仲が良かったことを教えられた呼び方だった。
向こうから歩いてくるカズに目を向けると明らかにこれまでと違う。
落ち着かない様子だった。
不思議そうに二人を見ていると、隣に居た樹が教えてくれた。
「カズさんの元カノだよ…」
元カノ?
こんなに可愛い人が…?
単純に驚いてしまった。