Dear HERO[実話]
カズも周りから見れば格好いい青年だった。
樹以上にモテたかもしれない。
だけど、今までのカズの態度から私はそれを素直に認めることができなかった。
…認めたくなかった。
でも…
今のカズの姿に私の心は少なからず反応した。
カズが今もこの女性のことを想っているのは、その表情を見て一目瞭然。
私が今まで見たこともない優しさのあるカズの表情。
好きな人の前だとこんな表情するんだ…
そんなカズの姿がちょっと可愛く見えたりもした。
そして愛おしそうに見るカズの視線が自分と重なって見えた。
私の視線の先に居るのは…
ドーン!!
しばらくすると、広場のほうで花火が上がり始めた。
「凛、行こう!」
手招きする樹の横を歩く。
夜空を彩るたくさんの花火を樹と一緒に見上げた。
今度は二人で来れるといいな…
そんなことを考えながら。