Dear HERO[実話]
樹の部屋はペットボトルや雑誌やらが散乱している、私がイメージする男の人の部屋だった。
龍斗のきちっと片付けられた部屋とは正反対。
「適当に座って…」
そう言われてベッドの前に座ると、樹はベッドの上に寝転がり前に座る私に甘えてきた。
後ろから体を近付け腕を絡めてくる。
「体調は?大丈夫なの?」
まだ顔色のよくない樹を見ながら体を向けた。
「凛がいるから良くなった♪」
樹は私を見つめながらそう言うと、そのまま抱き寄せた。
……好き…
樹のことが愛しいと思えた。
あんなにも龍斗と樹のことで自分自身と葛藤してきた。
樹のことだけ見ようとしてきた。
そしてその努力と共に、今は樹のことだけを見れるようになってきていた。