Dear HERO[実話]
「あぁ、いつもこのぐらいかな。で?話って何?」
きっと龍斗はこれから聞く話の内容がどういうものなのか想像していたのだと思う。
だけど、それが合っているかは私に話を聞くまで確信を持てない。
早く知りたかったのか、気持ちを落ち着かせようとする私とは反対に本題に入ろうとした。
龍斗に急かされ、私の心臓の鼓動はだんだんと早くなっていく。
でもそれも樹に別れを告げたときほどではない。
あのときの鼓動は、そのまま私の心臓をバラバラに壊してしてしまいそうなほどだった。
でも私より、そんな言葉を告げられた樹の心は?
……想像したくなかった。
前を向いたまま、龍斗の視線を感じながらゆっくりと口を開く。
「私ね…彼氏と別れたの…」
「……え?」
想像していた答えと少し違ったのか、龍斗は驚きの眼差しを向けた。