Dear HERO[実話]


「別れたって…何で?」



龍斗の驚く表情が視界に入りながら、私は唇を噛み締め言葉にする。




「……龍ちゃんのことが…好きだから…」



「………」



その言葉に龍斗は何も言わなかった。



「気付いたの…。ずっと龍ちゃんのこと忘れようとしてた。彼氏のことだけ見ようと思ってた。でも…でもやっぱり龍ちゃんのことが好き…」



「………」



二人の間だけ一瞬時が止まってしまったかのように静かな時間が流れる。

そして黙っていた龍斗がやっとで口を開いた。





「じゃあ俺、彼氏にかなり悪いことしたじゃん…」



そう言って申し訳なさそうに俯く。



…やめてよ。

悪いことしたなんて…

そんなこと言わないでよ。


私から視線を逸らし、外を見る龍斗を見つめた。

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