Dear HERO［実話］

「そんなこといよ。別れること決めたのは私だもん…」



そう、この答えこそが龍斗の気持ちを知ったあの日から毎日毎日悩んだ結果…。

これまで樹のことだけを見ようとしていた気持ちの裏には、本当の心を押し殺す自分がいた。


そんな自分が持ち続けていた本当の想いは、龍斗へ向けられていたのだと気付かされたんだ。





「龍ちゃんのことが好き。私と付き合ってほしい…」



精一杯の告白。だけど私には自信があった。


龍斗の気持ちは知っている。

私のことを好きだと言った龍斗が断るはずがない。


期待に胸を膨らませていた…。



ドキドキドキドキ…





「…ごめん。付き合えない…」




「………」




期待とは正反対の答えが返ってきたことに、自分の耳を疑う。



…どうして？


だってあの日、私のこと好きだって言ったのに…


あのときと同じだ。

好きだと言ってもらえると思って龍斗に聞いた。