Dear HERO[実話]
理由
龍斗と会える日は限られていた。
一ヶ月に一度会えればいいほう。
でもそんなに会えることはほとんどないんだ。
数ヶ月に一回というのが現実。
そして休みが合わない二人が会えるのはいつも夜で…一緒に食事に行くぐらいしかできなかった。
本当は二人で映画を見に行ったり、青空の下でドライブしたり…一日中隣に居たい。
一分でも一秒でも長く……
だけど現実はそう簡単にはいかない。
この日もやっとで時間を合わせることができた。
龍斗に会えると思うと嬉しくて高鳴る胸を抑えることができない。
しかし、約束をしていても時間どおりに会えることはほとんどなかった。
龍斗の仕事が忙しくて、中々終わらなかったから。
約束があるからといって勝手に帰ることはできない。
その結果二人が会える限られた時間を一分、一秒と減らしていくのだった。
龍斗から連絡がきても「ごめん、遅れる…」そんな言葉を見る度に気持ちが沈んでいった。
それでも龍斗が約束を破ったことは一度もない。
どんなに仕事が遅くなっても、疲れていても一度約束したことは必ず守ってくれた。