Dear HERO[実話]

そのとき、私と歩美の間を取り持つように話す莢香の携帯が鳴った。

テーブルの上に置いてある莢香の携帯に目をやると…


【榊 龍斗】


そう表示されているのが見えた。



あの人だ…!

それだけで不思議とドキドキした。



すぐに電話を切る莢香。



「着いたらしいよ。行こっか」



3人は席を立ち、店を出た。

莢香、歩美が話しながら歩く後ろを付いていく…車通りの多い道。


カフェからたった200mほどの距離なのに、その道がとても長く感じられる。



二人の会話に笑顔で応えながらも私の緊張はどんどん大きくなっていった。



そして道路脇の歩道に二人は立って、一人は座り込んでいるのが見える。

その座っているのが写真で見た龍斗だった。



茶髪というより金色に近い色の髪にサイズが大きめのシャツとズボン。

写真で見た印象とは違い、「怖そう…」そう感じてしまった。


龍斗と目が合ったが、その目をすぐに逸らしてしまった。


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