Dear HERO[実話]
龍斗が歩きながら見ていく後を目で追うように、私もいろんな映画を興味津々で眺めていた。
そして先を歩く龍斗の足は叙々に私の一番嫌いなコーナーへと向かっていた。
棚に並べられてあるDVDの写真が、明らかに苦手なものへと変わっていく。
血だらけの写真や得体の知れない物体…
一人で来るときは絶対に入らない場所。
嫌がる私を龍斗はわざとホラーコーナーへ連れて行こうとした。
「い…嫌だ…」
必死に抵抗する私に対し
「大丈夫だって!」と笑顔で言う龍斗。
「もう…やだやだ!」
嫌がる私の腕を掴んで連れて行こうとする。
それも笑顔で…。
私の反応をおもしろがってるようにしか思えない…
だけど嫌がりながらも、そんなふざけ合いを楽しんでいた。
龍斗と一緒なら何をしていても楽しかった。
隣に居れるなら…
あなたの笑顔を独り占めできるのなら…