Dear HERO[実話]
何も言わなかったけど…
「消えろ」
心の中でそう言ってるような気がした。
そしてその迫力に負けたのか、男は慌てて龍斗から目を逸らした。
突然の行動に私は顔が熱くなる。
龍斗の手から「凛は俺のものだ」そう言われているような気がした。
そして昔、龍斗が言ってくれた言葉を思い出した。
「俺がお前を守ってやるから…」
その言葉は本物で、あなたと一緒に居れば何があっても大丈夫なような気がした。
優しさと強さと…
あなたの真っ直ぐな想いに…
私はそう確信していた。
でもそれは…逆にあなたが居なければ、大丈夫なことは何もないような気さえした。
私にとってあなたの存在は大きくて、大きすぎて…その想いは時に、また私を弱さの塊にしてしまう。
続くと思っていた。
この関係がずっと…
恋人同士にはなれなくても、この幸せな時間は時々訪れるのだと…
…そう信じたかった。