Dear HERO[実話]
「凛…大丈夫か…?」
その声に目を合わせると龍斗がじっと私を見ていた。
その真っ直ぐな瞳に吸い込まれそう…。
「……うん…」
そう言うと優しく頭を撫でてくれた。
壊れものを触るかのように優しく、優しく…
龍斗の手は頬に肩に腕に…
「……大丈夫か?」
「怖くないか…?」
何度も何度もそう聞いた。
何度も何度もその声に包まれた。
龍斗は私の傷を知っているから…
恐くないように精一杯の優しさで触れてくれたんだ。
“愛しい”
本気でそう思った。
どうしてだろう…龍斗とは全然怖くなかった。
龍斗がすべてを受け止めてくれたような気がした。
龍斗の腕の中で寄り添う。
…温かい……。
このまま時間が止まってしまえばいいのに…。
誰にも邪魔されない二人だけの時間が永遠になればいいのに…
もう好きなんて言葉だけじゃ足りなかった。
こんなにも誰かを愛しいと思えるなんて…