Dear HERO[実話]


= 送信 =

 To:龍斗
From:凛

【ちゃんと話したいよ…】



しかしそのメールに返ってくる言葉はなかった。


ちゃんと解決したかった。

龍斗のことが好きだからこそ、そのままにはしたくない。

自分たちの前に現れた壁を自分たちの手でなくしたかった。


だけど、龍斗はこの一件に関して触れなかった。



それでよかったのだと今は思える。


5歳年上の龍斗。

大人だったのだと…



でもそのときの私は目の前のことで精一杯だった。

どうにかしなければと自分を追い詰め、自問自答する。


なんで…?


だがその気持ちとは反対に、龍斗へ連絡する勇気さえもなくなっていった。


成長していない…。


自分の想いを言えず後悔し、自分自身を追い詰める。

どんどん自分の殻に閉じこもっていった。


それからの龍斗との関係は冷めたものだった。

龍斗から連絡がくることはない。

私からメールを送っても返ってこないことが多い。


そんな状態が続き自分に自信をなくしていた。

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