Dear HERO[実話]
「…香水?」
「うん。凛ちゃんのイメージに合いそうだったから…」
バラの香りがするピンクの香水。
奏汰から見る私のイメージはこんな綺麗なものなんだ…。
薄いピンク色に染まる香水を見ながら複雑な気持ちでいた。
こんなに綺麗なものじゃないのに…
「ありがとう…」
奏汰とは毎日メールしていた。
どんな些細なことも話題にして…奏汰とメールしない日はなかった。
誰かと連絡を取っていることで安心していた。
誰かに助けを求めていたんだ。
構ってほしい。
一人にしないでほしい。
そんな我武者羅な行動が相手を傷付け、自分自身も傷付くだけでしかないことなんて…
この時私は知る由もなかった。
相手にされないのが、一人にされるのがただ怖かった。
「凛、俺と付き合って…?」
奏汰と数回会うようになったある日、告白された。
奏汰が想いを寄せてくれていたことは、会う度に感じていた。
いつしか“凛”と呼び捨てにされていたし…
いつか想いを告げられるだろうと確信に近い気持ちもあった。