Dear HERO[実話]
私はというと…隣に座る莢香とばかり話していた。
たまに龍斗が莢香に、莢香が龍斗に話しかける。
二人に挟まれた私は、お互いの顔を見ながら二人の会話を聞くことしかできなかった。
そんな中、気になることが一つ…。
「うるせぇよ…」
「おまえ、自分のことどうなんだよ」
それは龍斗の話し方。
龍斗の話し方は、押さえつけられるような強い感じがする。
金色の髪と鋭い眼差しが加わって、そんな言い方をする龍斗をまた“怖い”と思ってしまった。
二人の会話を聞きながらも、その場の雰囲気に慣れるので精一杯。
弘也も私と同じように、お酒を飲みながら貴久たちの話に入りつつ莢香を気にしていた。
目の前に座る弘也が、莢香に視線を送るのを何度も感じた。
莢香はこの視線に気付いてるのかな…