Dear HERO[実話]
メールで奏汰から毎日入ってくる【好きだよ】の文字。
しかし、私は同じ言葉を奏汰に返すことができない。
素直に好きと言えない自分に、もどかしさを感じていた。
「奏汰くんとはうまくいってるの?」
元気のない私をルリは心配してくれる。
普通なら彼氏と○○をした、どこへ行った…と言って聞いてほしくて必死になって話すのに奏汰のことを話すことはほとんどなかったんだ…。
「…うん。私の気持ち以外はね…」
うつむきながら正直に答えるしかなかった。
「えっ…凛の気持ちが一番大事なんじゃないの?」
私の答えにルリはさらに心配をする。
「うん、そうだよね。でも自分の気持ちがわからなくて。付き合ってみたら奏汰のこと好きになるかもって思ってたけど、変わらないの…」
「凛、そんな気持ちじゃうまくいかないよ?」
奏汰と付き合うことになったことを伝えた時、ルリは喜んでくれた。
龍斗のことで傷付いた私の姿を知っているからこそ、他の人を見ようと前に進んでいることに応援してくれていた。