Dear HERO[実話]
「わかってる。でもまだ付き合って2週間だし、まだこれから気持ちが変わるかもしれないし…」
ルリの目を一度も見て話そうとしない私を、ルリはただ見つめることしかできなかった。
それからも私の気持ちは変わることなく奏汰と付き合っていた。
もちろん私のそんな気持ちを奏汰は知っていた。
気付かないわけがない…。
だけど私を責めることはなかったんだ。
それでも構わないと…
俺が好きだからいいんだと言ってくれた。
本当に…本当にそれでよかったの?
……いいはずないよ…。
それでも普通の恋人同士を演じ続けた。
何が普通なのか…もうわからない。
偽りの恋人のまま、奏汰と二人で温泉に出かけた。
これも私がずっと憧れていた、好きな人とのデート。
でも何で好きになれないんだろう…
ずっと憧れていたのに。
実現したのに…。
奏汰のことを好きになれれば完璧だったのに…
一番重要なところが満たされていない。