Dear HERO[実話]
はぁ…はぁ…
荒い息遣いは続く。
奏汰は窓を開けた。
ひんやりと冷たい風が私の頭を優しく撫でる。
少しずつ意識がはっきりしてくると、どうにか立ち上がり浴室内を出た。
そして洋服を着ると、脱衣所に置いてあったソファの上へと倒れ込んだ。
まだ頭がぼーっとする…。
「凛、大丈夫?」
「………うん…」
心配して傍に来た奏汰に、私はそれ以上何も言えなかった。
もう、放っておいて…
旅館を出て、来た時と同じ高速に乗って帰るときには体調もだいぶ回復していた。
でも疲れた…。
私は一分でも一秒でも早く帰りたかった。
回復したとはいってもまだ完全ではない状態。
気分は最悪だった。
早く家へ帰って休みたい。
しかし、奏汰は車をそのままホテルへと走らせた。
ホテルに入ると、温泉で満足できなかった自分の欲を満たすため私の体に触れた。
私にはそんな奏汰の行動が理解できない。