Dear HERO[実話]
そして頭によぎるのは、まだ18歳だった私を襲ったあの日の出来事だ。
龍斗以外は樹のときも奏汰のときも、一度はあの日を甦らせた。
あいつは今でも私を苦しめる。
龍ちゃんならきっとここで体を求めたりしなかったよね…?
「凛が嫌がることはしたくない」
そう言ってくれるんだもん。
それが本当の愛なんじゃないのかな…
それなのに…
どうしてあなたは隣に居ないの?
あなたの心を信じたかった…。
奏汰の「好きだよ」、「愛してるよ」そんな言葉より私の気持ちを感じ取ってほしかったんだ。
そうやって、相手にばかり分かってほしいと追い求めていた。
「エッチが目的じゃないよ。エッチしなくても凛とはただ一緒に居れるだけでしあわせ…」
付き合い始めた頃、奏汰がそんなことを言っていたのを思い出した。
そう言いながらも奏汰は会うと毎回、ホテルに連れて行った。
「エッチが目的じゃないよ」
その言葉は明らかに嘘だと感じていた。