Dear HERO[実話]
携帯の発信履歴を見る。
もう二度と表示されることはないと思っていた名前が、今確かに携帯の履歴に残っていた。
【榊 龍斗】
私は時間を忘れ、何分も何分もその名前を見つめていた。
だけど…
「また連絡する」
そう言っていたのに、何日経っても連絡はこなかった。
不安で…
寂しくて…
それでも待っていた。
もうあのときには待つことに慣れてしまっていたのかもしれない。
1日、2日…
それが1週間、2週間になって…
携帯ばかりを気にする毎日。
不安に耐えれなくなり、龍斗に連絡した。
「ごはん食べに行くのいつ頃になりそう?」
「ごめん、仕事が忙しくて。また連絡するから…」
ねぇ…
“また”っていつなの?
その言葉は次があるように未来を繋げるようにも思えるけど、はぐらかされて次は無いような気さえした。
過去のままで止まってしまうのかな。
それでも私は待つしかなかった。