Dear HERO[実話]
仕事と私どっちが大事なの?
そんなことを言う女にはなりたくない。
それを言えるような立場になることすらできなかったんだけど…
仕事が忙しくても何か一つでも言葉が欲しかった。
私が送った後の仕方なしの返事じゃなくて、あなたからの言葉がほしかった。
約束した日から一ヶ月以上経っても龍斗からの連絡はない。
龍斗が食事に誘ってくれたとき、私は決意していた。
今度会えたら自分の想いをもう一度告白しようと…
受け入れてもらえなくても届けようと。
二度目の告白。
しかしそんな決意を打ち消すように、龍斗からは何の連絡もこなかった。
「今度飯でも食いに行くか」
それは龍斗の口からでた社交辞令だったのかもしれない。
そんな思いが頭をよぎる。
本当は会うつもりなんてない…
自分を守りたいがために人は弱くなる。
相手を信じて待つことができない。
弱くなるのは簡単なんだ。
そして告白しようと決意した強い想いを心の奥深くにしまった。