Dear HERO[実話]
求める言葉
「凛ちゃんのことが好き。
俺のことどう思ってる?」
夕日が目の前に広がる海を照らす。
水面は光を反射してキラキラと輝く。
色はオレンジというより黄金色…
風が心地いい季節だった。
運転席に座る壱春(イチハル)の目は真剣で、逸らすことを許してはくれなかった。
壱春との出会いは一ヶ月前。
そして二人で会うのは二回目。
こうやって会うことはもうないと思っていた。
なぜなら、これは二度目の告白。
最初の告白のとき壱春に想いを告げられ、
「ただ俺の気持ちを知ってくれていたらいいから」
そう言われた。
そんな壱春に私も少しずつ惹かれていた。
でも龍斗のことを隠したままでいることはできない。
だから正直に話したんだ。
想いを寄せる人が居たこと。
その人とはすれ違ってばかりいること。
今、前に進もうとしていること。
そして壱春に惹かれはじめていること。
だけどそんな私に壱春は怒りをぶつけてきた。