Dear HERO[実話]
「俺と付き合ってもその男のところにいつか戻るんじゃないか…俺はそんなの絶対に嫌だ!」
感情的に怒鳴られ、何も言い返す言葉はない。
壱春の言葉は正しいから…。
龍ちゃんのところへは戻らない!
そう言える自分はいなかった。
そんな自信なかったから…。
これでもう壱春と会うこともない。
そう自分に言い聞かせた。
しかしそれから数日後、私の隣には壱春が居た。
あの日の感情的な姿はなく、真っ直ぐな瞳を向けて…
「私も好き…」
その言葉を聞いて壱春の表情は緩んだ。
「ありがとう…」
夕日が海に沈んでいく。
その淡い光に照らされながら、壱春とキスをした。
これで…よかったんだよね?