Dear HERO[実話]
本当の姿
祭りから数日 ――
私は壱春と一緒に見た花火を思い出していた。
あの日の花火が頭に浮かぶだけで、自然と顔が綻ぶ。
もっと笑顔になりたくて、いつものように壱春に電話をかけた。
プルルルル…
プルルルル……
…あれ……でない。
メールを送る。
一時間…
二時間……
…受信を知らせる音楽は鳴らない。
きっと仕事が忙しいんだろうな。
次の日も電話をかけるが繋がらない。
その次の日も…次の日も…
壱春が電話にでることはなかった。
どうして突然連絡が取れなくなったのか、理由が分からない。
喧嘩した覚えはない。
祭りのときは普通だったのに…。