Dear HERO[実話]



「凛は俺のことどう思ってた?」




壱春に問いただされ、私も思っていたことを口にする。


連絡がとれずに不安に思っていたこと。

壱春のことが分からないこと。

でもこれから知っていきたいということ。


この先に待つ言葉は「別れ」のような気がして、いつしか涙がこぼれていた。




「イチはこれからどうしたいの?」



「正直言うと不安…」




心臓をキュッと掴まれる。

後に続く言葉を覚悟した。




「2ヶ月しか付き合ってないし、お互いのことよく知らない…」



「………」




ドクン…ドクン…




「よく知りもしないのに別れようとは思わない」



………?



「…えっ……」



壱春の返事は意外なものだった。

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