Dear HERO[実話]


一人で居たくなくてそのことを友達に伝えると、私と壱春のことを知っていた友達は遊びに誘ってくれた。


3人でドライブに出かける。

楽しい時間は自然と笑顔にしてくれる。


でもそんな時間の中でも不安は中々薄れていかなかった。


溢れ出しそうになる涙を必死に堪える。

そんな様子を見つめる友達の眼差しにミラーを通して気付いた。


気付いていても気付かないふりをするのが精一杯。

ミラー越しの目と合ってしまえば、涙を止めることができなくなるから…。




結局この日、壱春からの着信が鳴ることは一度もなかった。

不安で不安で押しつぶされそうになる。


横目でプレゼントを見ながらまた涙が溢れてきた。



何日経っても連絡が来ない。

どうしたらいいのか分からなかった。


壱春のことだけ見ようとしてきた。

裏切れないと思った。

裏切ってはいけないと思った。



でも、今の壱春の何を信じたらいいの?

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