Dear HERO[実話]
~♪~♪~♪
いつぶりだろう…
それさえも分からなくなっていた壱春からの着信。
「…もしもし……」
通話ボタンを押すことさえも戸惑う今、自然と声が低くなる。
「ごめん、ずっと連絡しなくて…」
「……うん」
返す言葉も素っ気無くなってしまう。
「ずっとバタバタしてたんだ…。大事な人を…一気に二人失くしてさ…」
「……えっ…」
思いもよらない話の流れに戸惑いを隠せなかった。
「大事な人って…」
頭にいろんな人がよぎる。
「俺のじいさんとばあさん。一人が亡くなって、その後を追うようにさ…俺にとっては親以上に大事な存在だったから…」
言葉がでなかった。