Dear HERO[実話]
付き合って何ヶ月か経った頃…
家族の話などほとんどしない壱春が、一度だけおじいさんとおばあさんのことだけ話してくれたときがあった。
やんちゃな性格の壱春は、学生の頃から色々と問題を起こしていた。
そんなことも私は話で聞くだけしか知らなかったんだけど…
そしてある問題を起こしたとき、警察沙汰になり父親から親子の縁を切ると言われた。
「俺とお前はもう何の関係もない」
そう突き放された壱春に優しく手を差し伸べてくれたのは、祖母だったらしい。
お金の絡む問題に、祖母は自分がお金を支払い壱春を迎えに来てくれた。
そんな祖母を壱春がどれだけ大事にしていたか、考えなくても分かる。
自分を救ってくれた大事な人を失った今…。
かける言葉が見つからなかった。