Dear HERO[実話]
「何で?」
今までの不安に耐えて壱春を信じてきたのは何だったの?
その結果がこれなの?
「仕事忙しいし、凛と会うことも中々できない」
「………」
「それに俺には借金もあるし…」
“借金”
それは私も知っていたこと。
壱春から聞いたとき、龍斗と重なった。
抱えているものが同じで、それを理由にして私を突き放す。
でもこれまで付き合ってきたんだ。
借金だけが理由ではない気がした。
「仕事が忙しくなってなかったら続いてた?」
今までの気持ちをこんな形で終わりにしたくない。
少しでも可能性があるのなら、それに賭けたかった。