Dear HERO[実話]
壱春が何を選んでくれるのか、それだけでワクワクした。
でもその日は結局来なかったよね。
ホワイトデーを過ぎても…
1ヶ月、2ヵ月経ってもその日がくることはなかった。
またいつものように連絡がとれなくなって、仕事が忙しいんだと自分に言い聞かせる。
今までみたいにいつかまた連絡が来るって、確信のない思いにしがみついていた。
だけどどれだけ時間が経っても“また”はなかった。
壱春の心を理解することができない。
もう信じることができない。
何が二人を壊してしまったのか、私には見つけられなかった。
いつどんな理由で終わってしまったのか、分からないまま自然と二人の関係はなくなっていった。
笑顔と涙。
多くを占めていたのは涙…
しかし、幸せから突然突き落とされる心の闇に涙さえ流れない。
再び壱春を追いかける気は…
…もう……
………ない…。