Dear HERO[実話]
「これ龍ちゃん?」
「うん…俺、おれ!」
子どもたちに向かってしっかりポーズをきめている。
スーツを着ているせいで顔は分からないけど、このヒーローが龍ちゃんなんだ。
「見に行きたい!」
キラキラした目を龍斗に向けた。
5年前に聞いた龍斗の夢。
スタントマンという大きな夢を、必死に追い続けていた頃の龍斗の姿を私は知らない。
過去の話としてしか聞くことができなかった。
でも今、目の前には夢を諦めていない龍斗がいる。
小さくても、どんな形ででも夢に近付きたいと追い続けている。
そんな龍斗の姿をこの目で見てみたい。
「今度いつするの?見に行きたい…」
ナイフとフォークを手に持ったまま、置くのも忘れて身をのりだしていた。