Dear HERO[実話]
「土日にいろんなとこでしてるけど…絶対教えない!」
私から目を逸らす龍斗。
絶対教えないって…
「…何で?」
私の表情は一瞬にして曇った。
「だって…恥ずかしいじゃん…」
そう言うと携帯の画面を閉じて、外に目を向けた。
顔が赤くなっているのが分かる。
でも私は納得のいかない顔を龍斗に向けた。
龍斗が「いいよ」と言ってくれるまで、懇願するような目で見つめる。
どうしても見たかった。
夢を追う龍斗の姿を自分の目に焼き付けたかった。
ここで負けたらきっと見れない。
真剣な眼差しで龍斗を見続ける。
絶対に見たい…
そんな私の目から逃げられなくなった龍斗はクスッと笑うと、外に向けていた目線を戻した。
「わかった…」
ワガママな子どものおねだりに負けてしまったような顔をする龍斗。
一瞬にして私にも笑顔が戻る。
了解をもらえたことが嬉しかった。