Dear HERO[実話]
「………」
写真をみた瞬間、龍斗の顔が曇ったような気がした。
「……可愛いね…」
そう言ってはにかむ龍斗。
でも私が見た龍斗の笑顔はどこか寂しそうで、そして苦しそうに見えた。
そんな笑顔を見て私の心臓もぎゅっと掴まれたように苦しくなる。
私…何か悪いことした?
龍斗の表情の意味が分からない。
明らかに今までとは違う表情に、私も笑顔をだすことを忘れていた。
龍斗は一度だけ画面に目を通すと、それ以上見ようとはしなかった。
静かに携帯を返される。
携帯を持ったまま、不思議そうに見つめる私の目を龍斗は見ようとはしなかった。
逸らされた目は不安しか与えない。