Dear HERO[実話]
莢香は龍斗が結婚したことを知っていたのかな。
もし知っていたのなら、いつから知っていたのだろう…
私の口数はどんどん減っていった。
普段通りにしようと思ってもそんなの無理だ。
涙が溢れそうになる…
でも龍斗の前で泣くわけにはいかない。
困らせてしまうから…。
だけど、何を話していても“結婚”“子ども”…
そのことばかりが頭をよぎる。
龍斗の後ろに見え隠れする存在。
苦しかった…
雰囲気を悪くしないようにと笑顔を作る。
そして龍斗は自分の家族についてなるべく触れないように話す。
そんな龍斗の方を見る度、シルバーのネックレスが目に入るんだ。
懐かしいネックレスを見ながら複雑な思いでいた。