Dear HERO[実話]
近くでは中学生ぐらいの男の子3人が自転車を手で支えながら話していた。
彼たちの目に私と龍斗はどんな二人に写っているのかな…。
龍斗は横目で中学生を気にしながら、車の横で立ち止まった。
手をズボンのポケットに入れ、「さみぃ…」小さくそう言うのが聞こえてくる。
「どうぞ…」
車に乗るように笑顔を向ける龍斗。
龍斗に言われるまま、運転席のドアを開け中に乗り込んだ。
エンジンをかけ窓を開ける。
全開に開けられた窓から、外の冷たい風が私の顔にもかかる。
そしてまた数時間前に買ったTAKE THATのCD、「Reach Out」が流れ出した。
気付かないよねきっと…
この曲の歌詞は私と龍ちゃんのことのようなんだよ。