Dear HERO[実話]
ふと外を見ると、寒いからか中学生の姿は消えていた。
寒そうにポケットに手を入れたまま周りを見渡す龍斗。
体が震えてる…
そんな龍斗の様子を見つめた。
「今日はありがとう…」
そう言ってニッコリ微笑んだ。
「うん…またな……」
「…うん……また……」
“また”
そう言う二人の間を一際冷たい風が通り抜けた。
「目……つぶってみない?」
左耳に入る「Reach Out」を聴きながら右耳に聞こえてくる龍斗の声。
「えっ……何で?」
反射的に聞き返した。
さすがの私にも目をつぶる意味ぐらい分かる。
だけど龍斗の口から聞くその言葉の意味は分からない。