Dear HERO[実話]
「目つぶってみない?」
その意味を知りたくて、心を覗き込もうと顔を上げると龍斗の瞳とぶつかった。
「………」
何で笑ってないの?
どうして真剣な顔してるの?
その言葉は冗談で言ったんじゃないの?
どんな反応をしたらいいのか、龍斗の言葉をどう受け止めたらいいのか…
心を覗き込む余裕も考える時間も与えてはくれなかったね。
目が合った瞬間、開けられた窓から龍斗の顔が近付いてきた。
一瞬のことに言葉も出ず、目をつぶることすら忘れていた。
そして触れる唇…
「…………」
軽く触れただけのキス。
驚き目を上げた私が見た龍斗の表情は…
「俺がお前を守ってやる」
あの日、私を救ってくれたときと同じだった。