Dear HERO[実話]
龍斗はそのままポケットに手を入れて自分の車へと歩いていく。
そんな後姿を見ながら、龍斗が振り向かないことを確認して私は窓を閉めた。
ごめん……
もう……無理………
「…うっ……ひっ……うっ…わぁぁぁ………」
肩を震わせ声を出して泣いた。
溢れ出す涙を止められない。
泣きたくても泣けなかった。
泣いてはいけなかった。
それまで抑えていた感情が一気に押し寄せた。
顔を伏せ、私の中に溜まっていた涙は流れ続ける。
どうして……時間は戻らないのかな。
どうして……龍ちゃんは私にキスをしたのかな。
ねぇ教えて……どうして?
どうして……
……結婚したの?