Dear HERO[実話]
「あの…莢香は?」
駐車場まで行くと、その間もずっと見当たらない莢香の姿を探しながら聞いた。
「あぁ、あいつなら弘也と一緒に出て行ったよ」
…弘也と?
あっ…
弘也が部屋を出たのは莢香を誘うためだったんだ…。
そしてゆっくりと車が動き出す。
この時、緊張のあまり車の中で龍斗と何を話したのか覚えていない。
ただ、みんなが居たときよりは話せていたはず…
ほんの10分ほどのドライブ。
とにかくドキドキして嬉しくて胸が高鳴っていた。
コンビニに着くと、龍斗はお茶を一つ手に取り私を見た。
「何かいる?いいよ、一緒に払うよ」
せっかくだからと、その言葉に甘えることにした。
外がちょっと寒くて、私はホットレモンを手に取った。
甘酸っぱいホットレモンは龍斗に初めて買ってもらったもの。
あなたはこの時のことを覚えていますか?
今でも私は冬になるとホットレモンが飲みたくなる。
温かくて甘酸っぱいホットレモンが欲しくなるの。
あなたと出会ったあの日を思い出したいから…