Dear HERO[実話]
ザァー……ザァー……
雨の音だけが耳を刺激する。
……考えたくない…
…何も考えたくない……
あの日聞いた龍斗の言葉を受け止めたくない。
信じたくないんだ。
でもね、私には龍斗の前から消えることも忘れることもできるはずないんだ。
そんな勇気はない。
ただこの現実から逃げ出したいだけ……
もう一度あなたに会えたことが信じられない。
あなたの笑顔を見ただけであんなにも幸せな気持ちになるなんて…
あなたの手に触れたことが、もう一度あなたが手を握り締めてくれたことがこんなにも私の心を惑わすなんて…
あなたからの優しいキスに幸せを感じてしまう。
あなたの存在はこんなにも大きなもので…
でもあなたの隣に居るのは私じゃない。