Dear HERO[実話]



そこへ車を降りた龍斗が歩いてくる。

近くまで来ると莢香は私が手に持つホットレモンを見ながら言った。



「凛だけいいな~私には?」



手に伝わる温かさは残ったまま…。

私はしっかりと握っていた。



「何でおまえに買ってこなきゃいけないんだよ」



龍斗は明らかに私と莢香に対しての態度が違う。

車の中でも龍斗の言葉は優しかった。


あの数十分のドライブで龍斗のことを“怖い”と思うことは一度もなかったんだ。



しかし遠慮することのない言葉で話すそんな二人の様子が、逆にお互いの仲の深さを見せられてるような気がした。


龍斗もベンチに座り三人で話したが、私はほとんど二人の会話を聞いているだけ…。



「おまえ、弘也とどうだった?てか弘也は?」


「あ…先に戻ったよ」



莢香が弘也に興味がないのは明らかだった。

弘也は莢香を気に入っていたみたいだけど…

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