Dear HERO[実話]
二人の話を黙って聞いていると、突然顔を横に向けて龍斗が話しかけてきた。
少し恥ずかしそうに…
「凛ちゃん……
携帯の番号教えてくれる?」
……え?
突然の頼み事に驚いた。
連絡先を聞かれたことよりも、恥ずかしそうに言う龍斗の姿に…
でもそれ以上に嬉しかった。
私も龍斗のことがもっと知りたいと思っていても、自分から聞く勇気なんてなかったから…
そしてお互い電話番号とメールアドレスの交換をした。
少し近付けた。そんな気がした…
数ヶ月後、龍斗自身に聞かされた。
本当は車の中で連絡先を聞くつもりだった…と。
しかし私がさっさと車を降りてしまったため、その機会を逃し莢香の前で聞くことになった。と、何度も愚痴のように…
ごめんね龍ちゃん…。
でもありがとう。
あなたに近付けたあの一瞬が私の恋の始まりだった。