Dear HERO[実話]
飲み会から数日 ―――
何の変化もない毎日が過ぎて行った。
学校で授業を受け、友達と話してちょっと寄り道して帰る。
その間、龍斗からの連絡は一度もなかった。
自分から連絡する、そんな勇気も私にはない。
莢香とは学校や交換日記で飲み会のときのことを話題にすることが多くなり、授業をサボって莢香と話す時間も増えていった。
そして話は自然と私と龍斗のことへ…
「凛とリトさんいいと思うけどなー。お互い傷付いた過去があるから分かり合えるっていうか…」
莢香とは何でも話す仲になっていた。
そう、私が傷を負ったあの出来事のことも…
「リトさんの過去って?」
「私もよく知らないけど、昔女に騙されたらしいよ。それからあんまり人が信じられないみたい。それって凛も一緒じゃない?」
「………」
莢香の言葉は私の胸にチクリと鋭い針を刺した。
もう一度、誰かを信じることができたら…
その相手が龍斗だったら…
なんて、このときはそんなこと考えてもいなかった。