Dear HERO[実話]
家の門限は10時。
それまでの数時間はあっという間に過ぎていった。
授業の90分と龍斗と一緒に居る90分が同じだとは思えない。
一分、一秒がもっとゆっくり進めばいいのに…
一層のこと時が止まってしまえばいいのに…
そんな無理なことを願ったりもした。
門限の時間になると龍斗は家まで送り届けてくれ、家の前に車を停めると「またね…」と言って二人は別れる。
「またね」その言葉があるだけで嬉しかった。
また…てことは次があるってこと。
龍斗に会える約束と変わりないことだから。
「凛ちゃん」そう呼ぶ龍斗のことは私も莢香と同じように「リトさん」と呼んでいた。
ちょっと距離を感じる呼び方も今となっては懐かしい。
龍斗の話し方、仕草…
時間が経つにつれお互いは惹かれ合っていった。