Dear HERO[実話]
「……バーカ!」
「………!?」
龍斗の言葉に今度は私が驚いた。
「言っとくけど、俺と莢香はそんな関係じゃないぞ」
「………」
でも呼び捨て…
「あのとき二人で出て行ったのは莢香に急かされたんだよ。凛ちゃんを早く誘えって。俺も莢香に弘也のことどうか聞いたりしてた…」
「……でも呼び捨て…」
思わず口に出してしまった。
「…特別な意味はないよ。最初から莢香って呼んでたし。特に意識したこともない……」
「でも私は“ちゃん”付けだよね…?」
龍斗を困らせたくはないのに、莢香と自分との違いが悔しくて愚痴を言う自分を止められないでいた。
「……凛ちゃんのことはそう簡単に呼び捨てにできない。凛ちゃんとはこれからゆっくり仲良くなっていきたいと思ってるから…」
「………」
電話先で恥ずかしそうに、でも真剣に言う龍斗の姿が浮かんできた。
その嬉しさに浸っていると、今度は龍斗が秀の名前を口にした。