Dear HERO[実話]
弘也はまた莢香に会えて喜んでいた。
目の前に気になる人が居るんだもん。
嬉しいよね…。
でもその気持ちは莢香には届かないのかな…。
途中トイレに席を立つと莢香も付いて来た。
「大丈夫?体調悪くなってない?」
自分も朝から体調悪くてきついはずなのに、お酒が弱い私をいつも心配してくれる。
「うん、大丈夫だよ。莢香は?」
龍斗と莢香の雰囲気が気になったが、あえて聞かないことにした。
「大丈夫…席離れてリトさんと中々話せないね」
「うん…」
龍斗と莢香の雰囲気は明らかにこの前と違うのに、莢香もそのことには触れようとはしない。
触れちゃいけないのかな…
莢香と少し話した後、二人で席に戻った。
部屋に入ると赤い顔をした龍斗の姿が目に入る。
そして私と莢香が部屋に戻ってきたことに歩美が気付くと、全員が私のほうを見た。
「……?」
突然のことにその視線の意味が私には全くわからなかった。