Dear HERO[実話]


弘也はまた莢香に会えて喜んでいた。


目の前に気になる人が居るんだもん。

嬉しいよね…。

でもその気持ちは莢香には届かないのかな…。



途中トイレに席を立つと莢香も付いて来た。




「大丈夫?体調悪くなってない?」



自分も朝から体調悪くてきついはずなのに、お酒が弱い私をいつも心配してくれる。



「うん、大丈夫だよ。莢香は?」



龍斗と莢香の雰囲気が気になったが、あえて聞かないことにした。



「大丈夫…席離れてリトさんと中々話せないね」



「うん…」



龍斗と莢香の雰囲気は明らかにこの前と違うのに、莢香もそのことには触れようとはしない。


触れちゃいけないのかな…


莢香と少し話した後、二人で席に戻った。



部屋に入ると赤い顔をした龍斗の姿が目に入る。


そして私と莢香が部屋に戻ってきたことに歩美が気付くと、全員が私のほうを見た。




「……?」



突然のことにその視線の意味が私には全くわからなかった。

< 56 / 407 >

この作品をシェア

pagetop