Dear HERO[実話]


不思議そうな顔をしていると、貴久が二次会でカラオケに行こうと言い出した。

龍斗も歩美も弘也もみんな乗り気で席を立ち始める。



だけど…

ただ一人莢香は「行かない」と言った。


みんなが莢香のほうを見ると

「体調悪いから…」とその視線を避ける。



やっぱりよくなってなかったのかな…?


心配そうに莢香の顔を見ていると、静まる室内で龍斗が口を開いた。



「おまえ、本当に体調悪いのかよ…」


その目は真剣でちょっと怒ってる。

今まで話していた明るい声が急に変わり、龍斗の言葉に驚いた。

只ならぬ雰囲気に気まずい空気が流れる。



この2時間…

積極的に話そうとしない莢香の姿を見て、龍斗は単に機嫌が悪いんだと思い込んでいたようだった。

その場の雰囲気が悪くなるような莢香の言動が、龍斗には許せなかったのだろうと思う。


しかし、不機嫌そうに龍斗の言葉を避けようとする莢香の表情は体調が悪いだけではなかったようだ。


何も言わない莢香を見て、口を開く。

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