後輩くんは俺様王子
「………やっぱり思い出せないですか。まあ、無理もないかもしれませんね。俺、結構変わりましたから」
「……………?」
「俺は…………………
聖也です。
影山聖也ですよ、南美センパイ」
「………………………えっ………?」
せい…………や、くん?
あの、聖也くん????
私の忘れることのできない、あの???
「信じられない、って顔してますね。でも、本当ですよ?ホラ」
私に自分の生徒手帳を渡し、ココ、と名前の欄を指さす彼。
そこにははっきりと、“影山聖也”とご丁寧にフリガナまでふって書いてあった。
「嘘でしょ………。聖也くんだなんて………」
「これ見ても信じられないんですか。仕方ないですね………」
と言って、彼はブレザーの裏ポケットから1枚の写真を取り出した。
それは私も持ってる、7歳の頃の私と一緒に写っている写真。
毎日のように眺めているから、間違えるはずがない。
「…………本当に、聖也くん…………?」
「だから、そう言ってるじゃないですか。そろそろ信じてくださいます??」
「いや、こんなの見せられたら信じるけど………だって、聖也くんかっこよくなりすぎじゃない?」
「そうですか?まあ、昔の写真とはあまり似てないかもしれませんね。
……南美センパイは変わってなさすぎて、笑いそうになりましたけど」
「えっ、ちょ、ひどい!!」
聖也くんちょっと意地悪になった………?
聖也くんにからかわれて若干涙目になる私。
そんな私を見て聖也くんはまたクスッと笑うと、
「変わってないですけど…………とっても、綺麗になったと思います」
と、私の髪の毛をすくいながらそう言った。